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月別アーカイブ: 2025年6月

谷研のよもやま話~第10回~

皆さんこんにちは!

 

大阪府和泉市を拠点に研磨加工などを主に行っている

株式会社谷研、更新担当の富山です。

 

 

 

研磨加工の未来について

~自動化・AI・脱炭素時代における進化のゆくえ~

前回は研磨加工の現場環境と環境負荷について取り上げました。

今回は、そこから一歩踏み込んで「これからの研磨加工はどう進化していくのか?」というテーマで一般的な市場での例を基にお届けします。


◆ 1. 自動化とロボット研磨の加速

 

従来は熟練の職人が手作業で行っていた研磨作業。
しかし、近年は多関節ロボットによる自動研磨システムの導入が進んでいます。

主な特徴:

  • ワークに合わせて自動で圧力・角度を調整

  • 表面の凹凸もセンサーで感知し適切な研磨を実現

  • 作業者の技術を再現可能(ティーチング or AI学習)

 

今後は「1人の作業者が複数ラインを遠隔管理する」といった省人化の形が広がり、労働力不足解消にも直結します。


◆ 2. デジタル技術による加工品質の飛躍

 

センシング技術、AI、IoTの活用により、研磨加工は今や可視化・数値化の時代へ。

  • 表面粗さ(Ra値)をリアルタイムにモニタリング

  • データ収集→AIによる最適条件の自動提案

  • 不良発生の予兆検知で、加工前にエラーを防止

 

こうした「スマートファクトリー化」により、品質は一定化・歩留まりは向上し、結果的にコストも削減されます。


◆ 3. 環境と両立する“グリーン研磨”

 

未来の製造業には「カーボンニュートラル」「ゼロエミッション」が求められます。研磨加工も例外ではありません。

グリーン研磨の具体例:

  • 水性・植物性研磨液の導入(石油由来から脱却)

  • リユース可能な研磨パッドの使用

  • CO₂排出量の“見える化”と削減報告

  • 太陽光発電を活用した研磨設備の稼働

 

特に自動車・半導体・航空分野では、サプライチェーン全体でのCO₂削減が求められるようになっており、研磨工程もその中心にあります。


◆ 4. 人材育成の新しい形:技能+ITの融合

 

これまでの研磨加工は「熟練の職人技」が物を言う世界でしたが、今後は**“デジタル×技能”のハイブリッド人材**が求められます。

  • CAD/CAMを使った研磨パス設計

  • IoTデバイスと連携したデータ分析

  • ロボット研磨のプログラミングと調整

 

つまり、「加工を理解する職人」と「技術を扱うエンジニア」が同じ土俵で語れる時代が来ているのです。


▶ まとめ:研磨加工は“職人芸”から“産業インフラ”へ

 

研磨加工は、ただ素材を削るだけの作業ではありません。
製品の価値を決定づける“最後の仕上げ”であり、製造業の品質保証を担う工程です。

これからの研磨加工は、
✔ 人手不足に対応する自動化
✔ デジタル制御による品質安定
✔ 環境負荷低減と持続可能性
をキーワードに、未来のものづくりを支えるインフラ技術へと進化していくでしょう。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

株式会社谷研では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

大阪府和泉市を拠点に研磨加工などを主に行っております。

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谷研のよもやま話~第9回~

皆さんこんにちは!

 

大阪府和泉市を拠点に研磨加工を主に行っている

株式会社谷研、更新担当の富山です。

 

 

 

研磨加工の環境について

~作業環境から排出物・法規制まで~

研磨加工(grinding, polishing, buffing)は、金属・樹脂・木材・セラミックスなどさまざまな素材の表面を整え、精度や光沢、平滑度を向上させるために行う重要な加工技術です。


しかしながら、研磨加工には多くの環境的な課題も存在しています。

今回は、現場での作業環境、排出物、そしてそれに伴う法規制や業界の取り組みについて詳しく解説します。


◆ 粉じん・騒音との戦い ~作業者の環境負荷~

 

研磨作業では、被加工物や研磨材が削られることによって大量の粉じんが発生します。特に以下のようなリスクが指摘されています。

  • 金属粉じん(ステンレス・アルミなど):吸い込むと肺疾患の原因に

  • 樹脂粉じん:有害ガスを含む可能性がある

  • 研磨材(アランダム等)そのものの微粒子:長期曝露で健康リスク

 

また、手持ち工具や大型研磨機の稼働による騒音・振動も無視できません。
長時間の作業は難聴・振動障害・腰痛・頸肩腕障害などにつながることもあり、作業者の健康を守る取り組みは急務です。


◆ 廃棄物・排水の課題

 

研磨加工の現場では、以下のような産業廃棄物や有害物質が生まれます:

発生物 環境への影響 対策例
スラッジ(研磨泥) 重金属を含む場合がある 固化処理や産廃業者による回収
研磨粉(乾式) 飛散・吸引リスク 集塵装置・マスク着用
排水(湿式研磨) 油分・金属粒子含有 中和処理・フィルター処理

特に「湿式研磨」では研削液が使用され、これが油分や金属イオンを含む廃水として処理されなければなりません。
排水基準は地域や国によって異なり、国内では水質汚濁防止法などによりpH、中性塩、重金属濃度などが厳格に管理されています。


◆ 環境対応の現場改善例

 

環境への負荷を軽減するために、多くの企業では以下のような対策・技術導入が進んでいます。

  • 乾式から湿式への移行(粉じん飛散の抑制)

  • 高性能集塵機やミストコレクターの導入

  • バイオ研削液(植物油ベース)の使用

  • 作業ブースの密閉化・局所排気設備の強化

  • ISO14001(環境マネジメント)取得による継続的改善

 

環境配慮型の工場では、これらの取り組みにより排出物を80%以上削減した例も報告されています。


◆ 法規制と業界の動き

 

研磨加工に関連する主な法規制には以下のようなものがあります:

  • 労働安全衛生法:防塵マスク、局所排気装置の義務化

  • 水質汚濁防止法:排水基準の遵守

  • 廃棄物処理法:適切なスラッジ処理

  • 化学物質管理法:研磨剤の成分表示義務

 

加えて、研磨材メーカーも「**環境対応型研磨剤(重金属不使用・低発塵性)」を次々に開発しており、工程全体でのクリーン化が進行しています。


▶ まとめ

 

研磨加工は、ものづくりの品質を決定づける大切な工程でありながら、作業環境や排出物に関する課題も多く抱えています。

しかしながら、技術・設備・マインドの進化により、今や研磨加工も環境対応の時代。
次回は、この研磨加工が今後どのように変わっていくのか、未来の姿をテーマにお届けします。

 

 

次回もお楽しみに!

 

 

 

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